山羊王のテーマ |
川本真琴によるタイガーフェイクファ名義のマキシシングル。
最近「ミホミホマコト」のユニットとしてのリリースはあったにせよ、彼女がソロで公に音源を発表 するのは 2001 年の「ブロッサム」以来なので、実に 5 年近く経つことになります。いざ新譜が リリースされて感慨ひとしお、といった感もありますが、それ以上に、アーティストが自分主体で 作品をリリースできる態勢がやっと整った結果なのだとしたらむしろそのことをお祝いしたい気 持ちで一杯です。 さて肝心の内容ですが、2nd.アルバム「Gobbledygook」の世界観とも異なり、ましてや1st.の ピンと糸が張ったような世界観もここにはありません。むしろ商業主義と一線を画す決意表明の 一枚、と受け取るのは飛躍し過ぎかな。 <2>「やさぐれヤーさんのテーマ」以上にやさぐれた歌詞(by吉田戦車)の <3>「成城学園前の歌」 がサイコーです。 また、楽曲以上に(と言っては失礼かな)ライナーノーツが抜群に良いです。数頁の簡易版です が「トクガワロマン」なる人が記した解説は、川本さんがメディアから離れてもなお彼女を追い続 けたファンを共感させるに足る見事に的を得た文章だと思いますし、真ん中の見開きの彼女の 写真も非常にすがすがしい本当にイイ写真だと思います。 |
パルテノン銀座通り |
知る人ぞ知る「伝染るんです。」という不条理漫画で一世を風靡した漫画家・吉田戦車との夢のコラボアルバム。互いの独特の世界観が絶妙に混じり合い、両ファンならずとも必聴の一枚!吉田戦車も作詞やコーラスで参加。不思議な異世界に誘われる事間違いなし! |
吉田戦車 (文藝別冊 KAWADE夢ムック) |
ビッグネームがずらりと並ぶ寄稿者の面々。この超豪華ゲストたちの寄稿作品を見るだけでもじゅうぶんに満足感がありますが、それ以上に吉田戦車さんの人間性にスポットを当てたページが充実しており(3万字ロングインタビュー、朝倉世界一さんとの対談など)、吉田戦車という人物そのものに非常に興味を持ちました。写真がたくさん掲載されているので、これはファンにとっては嬉しい特典です♪ さらには吉田戦車さんの過去10年間の日記や、歴代のキャラクター図鑑、椎名林檎さんとの対談まで掲載されています。全288ページ、全てが吉田戦車ワールドのページ構成。何度も何度も読みたくなるような、充実した内容の特集本です。この本を見た後に他の違う本の特集本を見ると、何か物足りないような感覚に陥ってしまいます(笑)。そのくらいコアで濃厚な作りの内容です。買って良かったと思える本にめぐり会えました。オススメです! |
伝染(うつ)るんです。 (1) (小学館文庫) |
中学生の頃に存在を知り、単行本を集めました。
声を出して笑うタイプの漫画ではなく、各4コマの核となる仕掛けに気づいた時にニヤリとしてしまうタイプでしょうか。 何よりもキャラクターが奇抜でおもしろく、味があります。 たらこキューピーにはまった人なら、「伝染るんです。」の世界観が難なく受け入れられ、なおかつ楽しめるはずです。 オススメのキャラクターは世界征服を夢みる少女の「ミッチー」と、ムチムチ感がかわいらしい(今日で言うキモかわいい的な意味合い)「かわうそ」です。 |
伝染(うつ)るんです。 (2) (小学館文庫) |
いまだにこの作品をフェイバリットとしてあげる者が絶えない。あの元・聖飢魔Ⅱのデーモン小暮閣下までがおよそ十年前のこの作品を良書と薦めている。開いた者には一瞬でわかるだろう。良書のゆえんというべきか、すばらしさというべきか、なにせとにかく漫画という手法をフルで活かした作品なのだ。一種不可思議な雰囲気がページの隅々まで充たしている。ところで僕はやはりここまでの作品を書き上げる作者吉田に興味を覚えてしまう。ある者には作者吉田が暴力の権化として目に映え、ある者には作者吉田がユトピアを見出した者として目に映える作者吉田に、だ。まったくもって面白い。「人間を虫のように観る」とはルイス・ブニュエルの言葉だが、彼もまたそのような視点に病み付きなのであろう。 |