ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 |
今から半世紀以上前の録音(1957年3月)ですが、ミケランジェリの燦然ときらめくピアノの音がしっかりと刻印されていて、聴きごたえ十分のCD。とにかく、水晶のような透明感があって、キラキラ光るピアノの響きが美しく、陶然とさせられました。
初演がわずか一ヶ月しか違わない両協奏曲(ラヴェルの『ト長調』が、1932年1月14日。ラフマニノフの『4番』が、1931年12月8日)。ファンタジックな曲の魅力と相俟って、ミケランジェリのピアノの音にくらくらさせられたラヴェルのコンチェルトが絶品だったなあ。格別、第2楽章のころころと転がり、滑るように下降していくピアノが描くライン(線)、これがもう、うっとりするくらい魅惑的でした。 ラフマニノフのコンチェルトも、同じ作曲家の名品『第2番』並びに『第3番』と比べると聴き劣りがしますが、でも、ミケランジェリのブリリアントなピアノの響きは、ここでも素晴らしかった。この時代、よくぞこれだけのピアノの音が録音できたなあと、そのことにも驚かされましたね。 ピアノの美しい音、美しい響きを堪能したい方におすすめの一枚。 |
タンゴ:ゼロ・アワー |
タンゴ界の異端児など色々な表現をされるピアソラさん、本国でもあまり評価が良くないと言うピアソラさん。
それだけ個性が強いという裏返し、一度は聞いて見たいと思っていましたが、例によって一杯出ているんだよね〜〜〜。 どれから聞くのが良いのか解りません〜〜〜〜〜〜〜。 「レビュー」を見て、このCD買いました。 本物の☆☆☆☆☆でした、レビューを書いて下さった皆様に感謝しつつ 自分も書いてみました。 一生付き合える、物に出会えるなんて、そう有る物じゃ無い、大切な コレクションに成ること間違いないですよ。 |
愛のめぐりあい【字幕版】 [VHS] |
簡単に説明します。
1話、美しい女性教師と寝なかった少年は、一生彼女を愛し続ける。 2話、「私は、父を12回刺した。」「今夜会いたい」と言って、一夜を共にするソフィー・マルソー。 3話、夫に浮気されたフャニー・アルダン。妻に逃げられたジャン・レノが巡り合う。 4話、教会へ行く途中のイレーヌ・ジャコブに恋してしまった少年。しかし、明日、彼女は修道女になるのだった。 全部で110分なので、一話一話そんなに長くはありません。しかし、内容が濃く、素晴らしい愛のオムニバスを味わえる名作だと思います。 |
女ともだち [DVD] |
ホテルの隣室でおきた自殺未遂事件をきっかけに友達同士になるイタリア美女4人組。しかし、その関係も同じ人物による入水自殺によりいとも簡単に空中分解してしまう。イタリアのトリノを舞台にしたアントニオーニ初期の長編は、都会人のさけられない孤独をクールに描いた一本だ。
(『情事』にも登場した)人気の少ない海辺への集団ピクニック、ブティック開店祝賀ファッション・ショーなど、1シーンに幾人も登場する群像劇でありながら、登場人物の孤絶が際立つ不思議な雰囲気が特徴的だ。いわゆる2ショットのシーンでエキストラが普通に周囲を通りすぎるのだが、一見自然なようにみえて実は極めて計算しつくされた機械的な動きをしているのがよくわかる。 愛よりも仕事に生きようとする女。夫の浮気に嫉妬もできず友人に浮気をけしかける女。妻のいる男を愛しながら相手に拒絶される女。自分の出世に嫉妬を覚える夫を気遣って離婚を決意する女。アントニオーニの映画に登場する人間は、どうして“愛”に対してかくも懐疑的で自ら孤独に生きようとするのだろう。 愛に傷つくことを極度におそれる臆病な女たち。ロゼッタの自殺によってその恐怖は確信に変わったに違いない。愛を打ち明けられたクレリアが男の元から去っていったとしても、彼女のことを誰も責めることはできないのだ。 |
情事 [DVD] |
本作品がカンヌ映画祭で初めてお披露目された時、表現が不道徳だとしてかなりのバッシングを受けたらしい。ほぼ原型に近い型にデジタル修復されたDVDで見たのだが、現代のエロス・スタンダードからすればとりたてて目くじらをたてるほどでもない。あちらこちらのパートがjカットされて本国イタリアでは上映されたのも、むしろ失踪した女のカレシとその女友達が恋仲になるというスキャンダラスな展開がカソリック的に問題になったと予想される。
しかし、当時の批評家の間では最後まで明らかにされないアンナ(レア・マッサリ)失踪の謎が論争まで起こしたらしいが、ここは(アントニオーニのいうとおり)その後のサンドロ(ガブリエーレ・フェレツェッッティ)とクラウディア(モニカ・ヴィッティ)の関係性を浮かびあがらせるためのサブ・イシュウとして見過ごした方がよいだろう。何事も“ペルケ(なぜ)”と理由を明らかにしなければ気がすまない俗物と同じ視点で見ると、あまりにも抽象的なアントニオーニ作品を“感じる”ことはおそらく不可能だからだ。 無邪気なカップルのイチャツキを見ても嫉妬すら感じないクラウディア、そして自分が納得する建築物を設計できないがために構造計算士に鞍替えした結婚できない男サンドロ。バカンスに出かけた島で失踪したアンナを捜索しているうちに恋に落ちる2人。しかしそれは、お互いの空虚な心を埋めるためだけのさめきった関係。はじめはアンナを失ったことに恐怖を覚えたクラウディアではあったが、サンドロと深い仲になったとたん、今度はアンナが再び現れることを恐れてしまう。 愛からは何も産まれないことをまるで証明するかのように、アントニオーニはクラウディアとサンドロの乾いた絡みを淡々と追いかける。愛の不毛・・・本作品に続く『夜』においても、そのテーマはより深く鮮明に描かれている。 |
ルネサンス美術館(全1巻) |
ヨーロッパの各都市が、今世紀になって綺麗に化粧直しにかかっている中で、とりわけ美術ファンにとって嬉しいのは、ローマ、フィレンチェといったイタリアのルネサンス芸術の各都市に点在する美術品の修復作業でしょう。
本書は、この復興作業の現状での結果を反映した見た目にも鮮やかな作品集です。色鮮やかに蘇った芸術作品は見るものを興奮させます。 「本当はこんなに綺麗な色彩だったのか」と、目から鱗がボロボロ落ちます。 腰を据えてじっくり読み・眺める価値が充分にある本で、軽薄な書物が溢れる現在にあっては、この厚さ、この重さ、そしてこの値段、決して高くない買い物であると思います。 |