ギャランドゥのビデオブログ #4 この世界の片隅に
![]() 夕凪の街桜の国 |
「夕凪の国」では原爆投下から10年後の広島が舞台。
被爆者である皆実の内省は常に原爆投下の日に向けられている。 生のきらめきに触れようとするたび、生き残ったことへの罪悪感と戸惑いにとらわれる。 自分は誰かに「死ねばいい」と思われた… みんなが死んでゆく中、自分はわけもわからず生かされた… 土地の人みんなが抱く心のわだかまりだが、 しかしこの思いにとらわれている限り、 ヒロシマに生きる人は「生ける亡霊」なのだ、と、原爆ドームを見た皆実は悟る。 そして、人類最大の禍いを乗り越える一歩を踏み出そうとするのだが…。 「死」とは過程である、とこの物語は語っている。 「死」に至るまでには「生」がある。 ともすれば淡白に描かれがちだけど、 「死」はこんなにもじっとりとした生暖かいものなのだ。 そして、「死」の瞬間の後にも、ぽっかり開いた穴として「死」は「生」の中に生き続けるのだ。 皆実の死は、悲しい、切ない、ということを通り越して、 強く「このようなことが起こったのです。起こり続けているのです。」と訴えかけてくる。 純粋な悪意の産物である原爆。 純粋な悪意。 信じられますか? そんなものが人の内にあるなんて 誰だってあんな女の子に幸福をと望まない人はいない。 |
![]() この世界の片隅に 中 (2) (アクションコミックス) |
やわらかいタッチの絵と穏やかに続く物語にこれから描かれるであろう悲劇が余計に重く響く。 |
![]() この世界の片隅に 上 (1) (アクションコミックス) |
広島でのりの養殖をなりわいとする浦野家の長女すず。彼女が少女時代の昭和9年から、呉へと嫁いだ新妻時代の昭和19年7月までを描く上巻です。
こうの史代作というだけで内容については何の予備知識もないまま手にしたのですが、これはあの夕凪の街桜の国の姉妹編ともいえる作品のようです。それを思うと、これに続く中下巻の展開を想像して心に重いものを感じざるをえません。 ここに描かれる浦野家の人々、そして婚家の北条家の人々は、ささやかな日々を静かに生きています。2008年の世界に暮らす私の目から見るとはるかにモノのないあの時代に、多くを求めず、いたわりの心を忘れずに生きる彼らの姿は、清々しい思いを抱かせます。 多少のいさかいはあるものの、立ち直れないほどに相手を打ち負かす言葉の応酬はありません。あの時代なりの平たく凪(な)いだ毎日の連なりの中に、物語の大きな起伏はありません。そのありがたさに主人公たちも、そして読む私までもが、感謝したくなります。 そうした人生が壊れていく様をいやがおうにも目の当たりにせざるを得ないであろう中下巻へと進むことに、私は今大いに逡巡しているのです。 |
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