心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る |
心の傷は、脳の特定の場所の「傷」に由来するとし、その診断と治療方法が書かれた本です。
症状とあわせて脳の画像が示される。 脳の画像には、著者の言う「傷」が現れている。 治療と共に症状が改善される。 あわせて、画像に表れていた脳の傷が消失する。 治療の内容は、主に向精神薬、運動、食事です。 (薬の確保以外は、個人でもできそうなものでした) 素人の私にとって「脳の傷が消えていく」連続写真は、非常に劇的な印象を受けました。 画像を見てるだけでも、ある種のイメージ療法になりそうです。 しかし…。 これは本当なのでしょうか? 画像が本物なのかという事も含め、確かめる事は私にはできません。 松澤大樹という方は放射線科医です。 治療が成功し、治る確率は50%を少し超える程という事で、しかもまだ画像からは診断できない未知の現象もあるという事。 私は「心の傷」を治す要である、精神科医との協力が望ましいとおもいます。 しかし、精神科医に対して、本書はかなりきつい表現で挑発しています。 私は素人なので、ある意味客観的に読むことができる立場だと思います。 しかし精神科医といえども人の子、この本のような書き方をされると、気分を害する方が殆どだと思います。 著者はお医者さん本人ではなく、ジャーナリストの方です。 もう少し表現について気を使ってもよかったのでは…。 本の内容が真実であったり、あるいは間違っていても、展開していく可能性があった場合。 専門家の怒りを買うというのは、治療成功の確率(が本当だとして)を見る限り、よくないと思いました。 |
統合失調症―正しい理解と治療法 (健康ライブラリーイラスト版) |
一般向けに書かれた統合失調症の入門書.後述する難点もあるが,総合すると非常によい本だと思う.説明は,基本的には,心理面ではなく脳の仕組みからの説得力に富むものであり,病気のメカニズム,患者の心理状態,外から見た様子,薬の効果・副作用・使い方,患者との接し方などに広く触れている.広くとっつきやすく書かれているだけではなく,大部分は誤解を招いたり誤魔化したりする書き方ではない,一般向け入門書にしては非常にしっかりした書き方である.特徴的な症状である具体的な妄想が生じる仕組みが自然なイメージを得やすいように説明されているのがよいし,誰彼構わず精神病扱いしたがる人が飛びつくような記述が見当たらないことにも好感を持てる.
唯一ダメなのは,表現にしても統計データの使い方にしても,「恐くない病気」という印象操作が散見されること.統合失調症が軽く見られて,「とりあえず自力で直そう」「単なる引き籠りだろう」「普通に生活できるようになったから安心」などという発想が生まれると大問題である.もっとも,本書を読むような人ならば安易な印象操作にひっかかることはないだろうが. |
統合失調症―患者・家族を支えた実例集 |
患者さんご本人にもご家族にも、全く関係ない一般の方にも、広くお勧めします。
私は統合失調症患者の息子ですが、本書を読み終えつくづくいい時代になったと感じました。こんな優れた一般向け解説書が、保健図書の名門から発行され、当然のように書店に並ぶ時代になったとは。 親の療養生活はかれこれ30年弱になります。幸い今は安定していますが健常者の生活はもうできません。発病初期の頃本人も周囲も無理解だったため、適切な治療を受けず病状が固定してしまったのです。当時は治療法が今ほど進んでおらず、精神病の解説書というと(なぜか)難解な哲学用語と心優しい文学表現が並ぶものばかりでした。10代の頃の私にはその内容と患者の病状が全く結び付かず「分からないのは自分の心が貧しく愛情が薄いからだ」と自分を責め、逆に治療を勧める自信を失いかけたものです。 「正確で分かりやすい解説書」はあいまいな表現を避けるため、素人の目には独断的に見えます。この著者の林氏も、前著などでは断言調がやや冷たく感じられました。しかしこの本では「正確さ」と「優しさ」を両立させるよう、表現から構成、装丁に至るまで細心の注意を払った形跡がうかがわれます。今や統合失調症は不治の病ではありません。患者さんを理解できないのはあなたの心が貧しいからではありません。ご本人とご家族が自信を持って治療を進め、充実した人生を取り戻すために、是非ご一読ください。 |