石井聰亙作品集DVD-BOX 1 ~PUNK YEARS 1976-1983~ |
この人がただの自主映画出身の監督ではないのは、制作順に観るとハッキリ分かります。初めて撮った「高校大パニック」は、ぶっちゃけしょぼいのですが、次に撮った「800000万分の一の孤独」は今観てもかなり衝撃的で、テクニックも物凄く進歩しています。イケイケ爆走パンクの初期の作風の中では、かなり異質な静かな狂気を描いた傑作です。本当に素晴らしい「狂い咲きサンダーロード」のリマスター&コメンタリー目当てで購入しましたが「800000万分の一の孤独」は必見。やっぱり天才です。このBOX、高いですが買って良かったと思わせる満腹感があります。 |
尋ねて雪か (徳間文庫) |
幼い妹、弟のために自分が働き父親の借金を返すと、20数年前に17歳で東京に出た「佐古田史朗」が主人公。
ひょんなことである組に拾われ、今ではその組を取り仕切る立場にある。 しかし、故郷と幼い妹、弟を捨てた過去が頭から離れず・・・何一つ出来ないことに気が付いていなかっただけで、半分は自分に賭けていたのだが、結果的に借金取りから逃げ出した父親と変わらなかった・・・心が晴れたことはない。 たまたま仕事で訪れた札幌で、頭から離れない過去に出会い、今度こそ何とかしてやりたいと思うのだが.....。 全体としては良くまとまっていると思うのですが、他の志水辰夫の作品ほど胸に迫ってくるものがありません。 多くを語らず、心の内を見せない男「佐古田史朗」というキャラクター設定上、過去と現在は記述されているのですが、最もどろどろしていると思われる現在に至る状況の殆どが読者の想像にゆだねられており、さっぱりし過ぎてしまったのが原因かもしれません。 |