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NHK少年ドラマ・アンソロジーI [DVD]
「タイムトラベラー」の原版はとうの昔になくなっているそうです。現在では信じ難い話ですが、このドラマが撮影されたビデオテープは当時は高価で、当然のごとく別の撮影のために消去されたということです。
そして、これも凄い話ですが、このDVDは、当時極めて珍しかった家庭用ビデオで録画されたものを基に、デジタル処理や、別に録音された音源を利用して再生されたもののようです。よって、画質・音質はお世辞にも良いとは言えませんが、致命的なほどでもなく、私は十分に楽しむことができました。
ただ、初めてこの作品に接するような人には意味のないものかもしれませんね。なんといっても最終話だけですし、それ以外でいうと、和子は確かに可愛いのですが、今流行りのシャープな小顔ではありません。むしろ、当時はか細く頼りなげに見えたケンが、案外、今の若い人から見てもカッコいいかもしれません。
ただ、戦争中にまともな治療も受けられずに死んでいった和子と同じ年頃の少女(非常に可愛かった!)を昭和47年に連れ帰ろうとして消滅してしまった母親を見て、人生にはどうにもならない問題が厳然として存在することや、科学の進歩が万能ではないということも多少感じるかもしれません。
この作品は、現在もロングセラーを続ける筒井康隆さんの素晴らしい小説「時をかける少女」を、奥行きの少ないビデオ映像で、ほとんどを素朴に、しかし、時に強烈な雰囲気で映像化していると思います。それによって、非現実な世界に置かれた普通の女子中学生の心に奇妙に同調し、その心の揺れや意外な強さ、あるいは乙女らしい優しさをよりピュアに感じ、多くの人の心の奥深くに忍び込んでしまったように思われます。その点では、原田知世さんが主演した同じ原作の素晴らしい映画にすら優っているように思います。

 

時をかける少女 通常版 [DVD]
改めて観て見ると凄く良い作品だなと思います。
個人的には絵柄も好みなので尚いいです。ストーリーのよさは抜群。
強いて言えば声優が下手ということでしょうか・・。

 

パプリカ [DVD]
夢の世界を操ることで起こる「近未来のテロ行為」に関する顛末を綴る。
「夢を操られた人間」は現実世界では理解不能な言動・行動に陥り、自殺や事故を誘発することも可能・・・という恐ろしいお話。

「宮崎アニメ」の影響が多分にあるな・・・と思えたのが、精神世界で繰り広げられるロボット化した人間やら家電製品やらの大行進です。

たしか「千と千尋の神隠し」だったかにも似た様なシーンがあったはず。

主人公が「別人格」に変身する・・という設定は良かったのですが、肝心のストーリーがイマイチ理解し辛かった。

「子供向け」とするにはややツライ内容。

 

時をかける少女
第1に、「時かけ」の本質を生かしたまま、質の高いドラマに仕上がっています。
「時かけ」を脚色したドラマや映画は数多くありますが、この完成度はNHK少年ドラマシリーズ「タイムトラベラー」以来です。
(NHKでの放送当時、小学5年生でしたから明確に記憶してます)


第2にスタッフ、キャストが豪華。

演出は、「パラサイトイブ」「催眠」「感染」の監督、落合正幸、「僕の生きる道」「ウォーターボーイズ(TV)」の佐藤祐市。
脚本は「踊る大走査線」でブレイク直前の君塚良一。ドラマの質が高いのは納得でしょ。
音楽は宮崎、北野両監督御用達の久石譲。ちゃんと久石節が聞けます。

キャストは和子=内田有紀、深町君=袴田吉彦、吾朗ちゃん=河相我聞。
加えて、和子の妹=安室奈美恵、和子の親友同級生=鈴木蘭々、和子のバスケ部のチームメイト=菅野美穂。
他に、森本レオ(和子父)、吉沢京子(和子母)、佐藤B作(福島先生)、森口瑤子(英語教師)、塚本信夫(深町父、MAT初代隊長)、原作者の筒井康隆まで住職役で登場。


これはフジ土8の「僕たちのドラマシリーズ」の最終作、このビデオは全5回を120分に編集した総集編ですが、このドラマの良さは堪能できます。
(福島先生と奥さんのドラマや他の丁寧な描写が味わえる、全長版のDVD発売が待たれますが・・・)

「時をかける少女」ファンと特に「NHK少年ドラマシリーズ」ファンにお勧めします。

 

旅のラゴス (新潮文庫)
遥か昔に、異星(恐らく火星)から高度な文明を持ってやって来た祖先が、時が経つに連れ文明を失う代償として、人類が転移、予知などの特殊能力を身に付けた時代を背景に、ひたすら旅を続ける「ラゴス」の姿を描いた作品。「ラゴス」がナイジェリアにあるアフリカ第二の都市名である事と、乾いた文体から舞台はアフリカ北西部と想像される。

ラゴスの旅の一応の目的は、祖先が降り立ったという"キチ"という南の村で祖先が残した書籍を読む事である。"キチ"は宇宙"基地"の意であろう。しかし、キチに辿り付くまでの過程を読むと、旅そのものが宿命とも言える。壁抜け芸人の悲哀。怪鳥と大蛇の町。ラゴスを愛する女達との非情とも言える別れ。銀山での奴隷生活。全ての人に愛着を持たれながらも、ラゴスは南を目指すのである。そして愛馬スカシウマとの友愛は詩情さえ感じさせる。元々北の都市部で教育を受けたラゴスが書籍で得た高度な知識を活かす事によって、キチの村は栄え王国になるが、ラゴスは現代人がその高度な知識を用いる事の危険性を感じる。逆進化論者の筒井としては格好の題材の筈だが、物語はあくまで静かに進行する。そしてラゴスはキチを去り、また旅に出る...。

出逢いと別離、そして再会。略奪賊と友好的村人。現実と甘酸っぱい回顧。旅の最中でのこうした感情・状況が構成力豊かに描かれる。特に、スカシウマとラゴスが同化して谷を飛ぶシーンは美しく、ここで終っても良かった。故郷に戻ったラゴスはダ・ヴィンチよろしく万能学者として活躍するが、時代のレベルを忘れない。技術先行の現代への警鐘と言える。「人生そのものが旅である」。"氷の女王"を目指して、ラゴスはまた旅に出る...。詩情とロマンに溢れた秀作。

 

家族八景 (新潮文庫)
かなりの年代モノの作品。そういった「時の流れ」を随所に感じる。
それは「お手伝いさん」の存在自体にも感じるし、彼女が転々とする
家庭の調度品だったり、家族の言葉遣いだったりからも感じさせられる。
しかし、「時代の流れ」を如実に感じられるからこそ、
「人間」の本質や人間たちの抱えている問題の変わらなさを実感できるのだと思う。
そして、この時代の人たちが作り上げた「時代」が「今」に大きく影響していること、
同じときの流れに乗って「現代」があることを強く感じることができる。

「テレパシー」という切り口やコミカルで軽い文調のおかげで、
とても読みやすい。けれど、読み進めていくと、連続して見せられる「人間」の闇に、
心が少し悲鳴をあげてしまう。疲れてしまう。
だからこそ、七瀬が自分の能力を疎ましく思っている様子にも
この力を悪用しようとしない様子にも共感できるのだと思う。

 

筒井康隆 動画

パプリカ(アニメ映画) 予告編




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