Mystic.River.(2003)_TRAILER
ミスティック・リバー 特別版 〈2枚組〉 [DVD] |
ジミーは娘を殺された苦悩があまりにも深かったから、誰でもいいから報復できる相手を切望していたのではないだろうか。デイブに対して執拗に自白を迫る彼の姿から、相手は誰でもいいから仇を討てさえすれば現在の苦しみや哀しみが少しでめも和らぐと感じていたのでは、と思った。デイブの自白はもちろん真実ではなかったけれど、彼がでっちあげてみせたケイテイ殺害の動機「俺にはあんな輝かしい青春はなかった。俺のかわりにお前があの時車に乗っていたら」とジミーにいう台詞は、彼が長年心に秘めてきて言えなかった本音や怨恨を表しているのではないかと思った。 どの登場人物も哀れで息詰まるようなリアリティをもって描かれている。ハリウッド映画にありがちな勧善懲悪やハッピーエンドは皆無であるが、それこそが等身大の人間の姿かもしれない。鑑賞後はすごく悲しく侘しい気持ちになり、人間不信にも陥りかねないが、魂の奥深くを執拗に探られるような傑作には違いない。 |
ミスティック・リバー [DVD] |
映画の方は、確か封切り初日に見ました。ショーンペンの演技が見たくて。
そして最近、この作品の原作を読みました。その上での感想は、監督クリントイーストウッドの監督としての能力の高さに脱帽したと言うことです。原作は決して短くはない本ですが、そこに描かれている物語の重み、深み、雰囲気を見事に映像化しています。 もちろん、脚本そして俳優陣の確かな演技が監督の意図するところを確実に表現しているのでしょうけれども、それにしても原作を読んでしまうと映画が急に色あせたものになってしまうことが多い中で、この作品は、そんなことは全くありませんでした。 素晴らしい映画です。 |
ミスティック・リバー (ハヤカワ・ノヴェルズ) |
映画を先に見た。
後味の悪い映画だったし、自分がちゃんと答えを見つけられなかったような気がして、だいぶ時間が経ってから小説を読んでみた。 驚いたことに、小説の中には映画と同じ世界が広がっていた。 子供の頃に受けた傷が、その後の生き方を少しずつ変えていく、決して大声で語られることのない、やり切れない人生の不条理な真実。 この小説はとても痛い。 けれどもその痛みを受けとめるところから始めるしかないと思う。 |
ミスティック・リバー (ハヤカワ・ミステリ文庫) |
’03年に、クリント・イーストウッド製作・監督・音楽によって映画化され、アカデミー賞で主演男優賞:ショーン・ペン、助演男優賞:ティム・ロビンスと、主要2部門でオスカーを受賞した。
’01年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第2位、「このミステリーがすごい!」海外編第10位にランクインして、さらに’02年度のアンソニー賞のベスト・ノヴェルにも選ばれたデニス・ルヘインの代表作である。 ボストンの貧困地区。ジミー、デイブ、ショーンの3人組が路上で遊んでいると、不審な車が少年たちの傍に停まる。警官を名乗る2人連れは、3人の内からデイブだけを車に乗せ、静かに走り去った。四日後、デイブは帰ってきたが、心と体に大きな傷を負っていた。 それから25年後、同地区で殺人事件が発生。被害者はジミーの娘だった。捜査を担当するのは、今は刑事となったショーン。やがて捜査線上にデイブの名が浮かぶ。事件は3人の過去を弄ぶようにして、非情な物語を導いてゆく・・・。 幼なじみだった3人の男の物語を、ひとりは被害者の父親、ひとりは捜査する側の刑事、そしてもうひとりは容疑者として、重厚なタッチで描くミステリーだ。本書には謎解きのスリルも用意されているが、ストーリーとしては、登場人物たちの心象を見つめることに主眼が置かれている。彼らの心に渦巻く家族への愛憎、日常への苛立ち、癒せぬ過去。これらの均衡が崩れたとき、人間はいかに愚かな存在となるか・・・。 人生には辛いことや哀しいことがたくさんあり、しかも正しいことが何なのかも分からない。指針はどこにもない。その真実を本書は鮮烈に描き出している。 |
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