無頼 阿佐田哲也の虚と実②/5
![]() うらおもて人生録 (新潮文庫) |
著者が自分の人生を振り返りながら、若者に向けて書いた人生論。運の良し悪し、運の使い方など、独特の視点から人生を語っているところが面白い。運の良し悪しと言っても、占いとか風水とかいったような非科学的なことを書いているわけでは決してなく、「なるほど」と思わされてしまう。この本を読んで、小説家というのは、さすがに人間観察のプロだと思った。 |
![]() 狂人日記 (講談社文芸文庫) |
89年4月に亡くなった色川武大(阿佐田哲也)の遺作ともいえる作品。《阿佐田哲也》の代表作はもちろん麻雀放浪紀だが、《色川武大》の代表作は「離婚」や「怪しい来客簿」ではなく、この狂人日記だと思っている。
色川・阿佐田どちらの名義にしろ、彼の作品には自身の人生観あるいは人間観が色濃く投影されたものが多いが、その全てが投入されたのがこの作品ではなかろうか。 正気と狂気の狭間を行き来する男の手記(告白)の形がとられているが、文章や行間から著者が筆を握り締めながら原稿用紙を睨みつけている様子が浮かんでくるようである。加えて著者の体臭も強烈に感じられてくる。しかし、作品全体を覆うトーンは透明であり毒々しいものではない。叙情的ですらある。 色川武大が命を削って書き上げた、名作の名に相応しい作品だ。 |
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