欲望という名の電車〈オリジナル・ディレクターズカット〉 [VHS] |
テネシー・ウイリアムズの名作をエリア・カザンが映画化した名作中の名作。主人公のブランチをヴィヴィアン・リーが扮している。ヴィヴィアン・リーは、「風邪と共に去りぬ」に続いて二度目のオスカー。美貌のヴィヴィアン・リーの狂気と正気の境目を泳ぐような演技がゾクッとするほどリアル。彼女と同居し、ソリの合わない妹の夫を演じるのがマーロン・ブラント。粗暴でありながら性的な魅力をあわせもつ男。奥歯を噛み締めるような独特の喋り方などマーロン・ブラントならではの存在感。 この映画の良さは、文学性を損なうことなく映像化されている点にあると思う。出演者の目の動き、視線の交差、声の強弱を積み重ねて、点と点が結びつき、物語が一つの方向に動いてゆく。そして、観るものは、自らの記憶と絡み合って「欲望という名の電車」を体験する。2時間を超える作品であり、モノクロ、現在のSFXなどもない作りだが、俳優の名演と監督の演出によって見るものを圧倒する。映画のお好きな方にとっては一度は観ておくべき作品。 |
欲望という名の電車 [DVD] |
この映画、原作と違う台詞があるのです。
ブランチが夫に自殺する直前に言った言葉です。 今、見直してみると映画版の展開の方が ブランチの深層心理に及ぼした影響が納得が行きます。 人はどうしょうもなく他人に縋りたくなる時があります。 それを弱さと決め付けるのはたやすいが 相手を追いつめる最大の凶器ともなる。 ブランチは夫を言葉で殺し、夫の影を追うように夫と同じ人間になった。 どうすることもできない救われることのない社会から隔絶した女の悲劇がここにある。 |
欲望という名の電車 オリジナル・ディレクターズカット [DVD] |
前作1948年“アンナ・カレニーナ”の見事な演技から3年、ビビアンの迫力あるブランチ役にとにかく興奮しました。“風と共に去りぬ”よりも遥かに良かったです。
プランド(27歳)の短気な性格、ビビアン(38歳)の美しい魅力ある年上女性を見事に演出し、当時の家庭内暴力(DV)は現代では大きな国内問題となっているが、それよりも、姉妹であっても居候の身の家族関係の難しさは今日でもよく理解できることです。 また、精神病を患いながらの役は十分にアカデミー賞に値する名演技でした。 ブランドにとっては出世作となり、後にビビアンと同様にどちらも生涯二つのオスカーを受賞するというコンビはとてもすばらしいに尽きる。もちらん、カール・マルデン、キム・ハンターらのオスカー賞助演俳優の名演技も忘れてはいけない。 |
欲望という名の電車 (新潮文庫) |
繊細すぎるがゆえに過酷で野蛮な現実に決して対応できない、ブランチという女。富を失い若さや美貌を失い、彼女の周囲に組み立てられた楼閣は、がらがらと音を立てて崩れていく。
その現実に果敢に立ち向かうどころか、ますます自閉症気味に自分の夢のなかに閉じこもっていくだけの彼女。そしてついに悲惨なまでの自己崩壊が訪れる。 テネシーはフローベールのように、ブランチ、それはわたしだ、と言っただろうか?愛するフランクを喪ったあと、無残に崩壊していく自我を醒めた目で見つめるしかなかったテネシー。やはりブランチは、まぎれもない彼自身なのだ。 |
欲望という名の電車 (新潮文庫) |
ヴィヴィアン・リー主演のこの映画を観て感銘を受けたので、是非、本でも読んでみたいと思い、借りた。多少映画と違い、省かれていた部分もあるものの、映画の感動をそのまま感じることが出来た。ただ、とても古い本だったので、漢字の読みにくいところが結構あり、その点は残念だったが、今度は、新しい本で読んでみたいと思った。 |