大介バンド 船戸フリーク
炎の回廊―満州国演義〈4〉 (満州国演義 4) |
著者・船戸さんも時々訪れる、とある荻窪の『居酒屋・女将』から推奨され、本作品1〜4巻までを読んだ。40年以上船戸さんを知る『女将』が初めて褒めた作品だそうである。
嘗て、ゴルゴ13の脚本なども手掛けた著者は、好奇心を擽る『フィクションの世界』を描かれた。しかし本作は、日本人であれば小学生でも知りうる『ノンフィクションの世界』に『フィクションの世界』をコラージュ(糊付け)したものである。しかも、『ノンフィクションとして存在する人物』は、作中、台詞を発しない。ストーリーを創るのは、コラージュされた『ノンフィクション・敷島4兄弟およびそれを取り巻く人々』である。多くの歴史小説が、『ノンフィクション』に語らせるなかで、本作は、『フィクション』をコラージュし、語らせ、歴史を躍動させる。この構成が何より面白い! (4巻に詳細があるが)『国民』が存在しなかった『満州国』という『国家』が、何故、存在しえるのか。官僚・馬賊・軍人・アナーキストという立場を異にする、敷島4兄弟が、『満州国』を巡って、『追従』『無関心』『肯定』『否定』という4機軸でストーリーを展開する。それは、肯定・否定・昇華という弁証法的アプローチで『満州国』を描き、読者に『満州国』の存在感をよりリアルに感じさせる。 さて、本作品はまだまだ続く。異なる4機軸・敷島4兄弟が『風車』のように回転しながら、『ノンフィクション』の世界を駈け巡る。この『風車』の中心は何か。それは、今後の作品進行のなかで明らかにされるであろう。肯定・否定を繰り返す中で、『昇華』される『真理』は何か。新鮮なテーストの歴史小説を発見した喜びに、私は浸っている。 |
群狼の舞―満州国演義〈3〉 (満州国演義 3) |
満州国建国へ。満州でやりすぎて国際社会からますます浮いて行く大日本帝国。帝国陸軍から「皇軍」へ。日本は国を挙げて満州への期待が膨らみ、覆水盆に返らない状態へ。
敷島家の四者四様の満州が面白いです。 |